導入事例 [おかもと循環器クリニック]

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おかもと循環器クリニック
おかもと循環器クリニック様

心臓リハビリテーションを身近で提供
かかりつけ医として心疾患の予後改善・予防に取り組む

「在宅医療を含めた心疾患患者の包括的な生活管理と予後改善効果のある先進的なリハビリテーションを提供する」という基本方針を掲げ、2020年5月に兵庫県淡路市に開業したおかもと循環器クリニック。クリニックでは希有な心臓リハビリテーションを提供する同クリニックが、開業に際して採用した電子カルテがPHCメディコムの「Medicom-HRシリーズ」です。

三次医療機関勤務で感じたかかりつけ医の価値

院長の岡本浩先生は、17年間にわたり兵庫県立淡路医療センターの循環器内科で、心臓カテーテル治療や集中治療室での重症管理などに取り組む一方、外来では高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の診療を行ってきました。

これらの治療経験の中で岡本先生が強く感じたことは、狭心症や心筋梗塞といった心疾患に至る前の段階での予防や病気の治療後の再発予防でした。生活習慣の改善や投薬治療による疾患管理など、地域住民の身近で相談に乗れればと思い開業に至ったと言います。「部下も増え、年々患者さんとの距離が遠くなったと感じていました。それだけに週2回の外来診察は、直に患者さんと接することができる楽しい時間でした。それなら、開業してかかりつけ医として患者さんを診ていこうと踏み切りました」。岡本先生は、開業の直接的な動機をこう話します。

開業に際しては、開業支援コンサルティングを含めエムシーシステムが担当しました。開業に関する知識がまったくなかったという岡本先生ですが、「同社の実績を基にパッケージ化した支援事例を多く紹介され、すべて任せることができました」と言います。

心臓リハビリで患者の健康レベルを引き上げたい

循環器内科・内科診療に加え、心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)に積極に取り組んでいることも、おかもと循環器クリニックの大きな特徴です。心臓リハビリは、心臓病患者の体力回復と精神的負担を減少し、快適な家庭・社会生活への復帰支援と、再発や再入院防止に効果があるとして注目されてきました。再入院率が39%減少するという心臓リハビリですが、外来患者の継続率が10%程度であることが課題とされています。

淡路医療圏で心臓リハビリを実施しているのは、岡本先生が勤務していた淡路医療センターのみ。「治療効果が高いだけに、淡路医療センター1カ所だけでは通院できる患者さんは限られ、ほとんどが近所の人だけでした」(岡本先生)と指摘し、心臓リハビリの拠点として、少しでも多くの患者に通ってもられる体制を整えることにより、「心臓リハビリを通して淡路島の患者さんの健康レベルを引き上げたい」(岡本先生)としています。

心臓リハビリでは、患者ごとに安全で効果の高い運動療法を行なうために心肺運動負荷試験(CPX検査)によるデータに基づいて処方されるため、おかもと循環器クリニックではCPX検査機器(エルゴメーターなど)を8台導入しています。

クラウド型では実現困難だと感じた柔軟な使い勝手

勤務医時代の経験から「電子カルテは必須」と考えていた岡本先生ですが、当初はクラウド型電子カルテの導入を候補としていたと言います。「導入・運用コストとも低価格であること、常に最新の機能が利用でき、新規開業のトレンドのようなイメージがあったから」と振り返る先生ですが、開業支援を委託した販売代理店との面談でクラウド型電子カルテのデメリットが大きいと感じました。「クラウド型はカスタマイズができず、自分の要望がほとんど受け入れられないことを理解しました。自分が使いやすいようにできなければ仕事の効率は上がらないと思いました」(岡本先生)

そこで、推奨されたのがPHCメディコムのMedicom-HRシリーズでした。実は、勤務医のときに月1回派遣されていた国保診療所にPHCメディコムの電子カルテが導入されており、使用経験がありました。「画面構成や操作に馴染みがあり、診療所用にシート入力などをカスタマイズできることを知っていました。病院で毎日使っている電子カルテよりも使い勝手がいいと感じていました」(岡本先生)と評価していました。実際の導入検討に際しては、医学生時代の同級生から勧められた他社の電子カルテや展示会などでも見た電子カルテも含めて検討しました。「淡路島島内で最もメディコムを導入している先生が多いと聞きましたし、採用したスタッフにも以前に使用した経験者もいるなど、使い慣れたメーカー・機種がベストだと判断しました」(岡本先生)

導入前の操作トレーニングに加え、運用開始後のサポートについて岡本先生は、「スタッフ誰もがわからないことがあると電話で即座に対応してくれ、非常に助かっています」と評価しています。

カルテ入力に関しては、実際はシュライバーに任せているという岡本先生ですが、以前に診療所で操作した際に感じたMedicom-HRシリーズの1画面で効率的、かつ漏れなく入力できるシート入力を評価しています。「所見、処方、バイタルデータや検査依頼時の項目選択などごとにシート、テンプレートを作成し、効率的な入力を支援できています」(岡本先生)とし、シュライバーが負荷なくスピーディーにカルテ記載を完了できると話しています。

スタッフの業務効率化を推進する現場業務のDX化

おかもと循環器クリニックは電子カルテの導入はもとより、スタッフの業務効率化と負荷軽減を目指した医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に取り組みました。具体的なICTツールとしては、最近多くのクリニックで利用が進むWeb問診、Web予約、自動精算機付きPOSレジシステム、マイナンバーカード対応オンライン資格確認システムなどです。「すべてデジタル処理するわけですから、できるだけ最初から入力してもらうべきだと考えています」(岡本先生)とし、業務改革につながるICT化を目指しました。

特にWeb問診は、従来の紙の問診票に記入してもらい受付スタッフが電子カルテに入力する作業は非効率であり、年代層を問わずスマートフォンを所有する人が増え、事前入力によりスタッフの業務軽減に役立っています。Medicom-HRシリーズとのデータ連携は、電子カルテ(受付システム)に診察券番号(患者コード)を入力すると、取り込み情報欄に問診内容が自動的に表示され、コピーボタンで整理された内容が主訴欄に転記されます。

もちろん患者すべてが自分のスマートフォンなどに入力できるわけでなく、Web予約も含めスタッフが聞き取って入力することも少なくないと言いますが、「将来を見据えて最初から環境を整えておくことは重要です」(岡本先生)と言います。

電子カルテの価値はデータの集約・参照できてこそ

電子カルテは“データ管理の器”だと指摘する岡本先生。「データを1カ所に集約することで患者の状態を俯瞰できることが電子カルテシステムの価値だと思っています」と言い切ります。先に触れた問診情報も含め、さまざまなツールや検査機器などのデータはデジタル化されるようになりましたが、ツールはサイロ化してデータは分散していることが多い。データの集約・一元化の方法は様々であっても、少なくとも電子カルテ画面ですべてのデータを参照できる環境にすることが重要だと言います。

おかもと循環器クリニックにおける各機器のデータ集約の例として、ほとんどのクリニックが対応している医用画像の連携参照の他に、主に心臓リハビリで利用するCPX検査機器や7日間連続で記録可能なホルター心電計など循環器領域の医療機器は、すべて電子カルテに集約・参照できるようにしています。CPXでは心臓リハビリ専用モニターのレポートがPDF化され、電子カルテに転送することで一元管理しています。ホルター心電計も同様に、販売代理店から受信した解析データ(PDFファイル)を電子カルテに取り込んでいます。

それぞれペーパー出力した書類を管理することなく、電子カルテで参照できるため、患者説明にも役立つと言います。「各機器のレポートは印刷して患者さんに渡したところで理解はできません。画面で経過グラフなどを見せながらリスクなどを説明すると、視覚的に理解も進み、納得してもらえます」(岡本先生)。

最後に、電子カルテ導入を検討する際に注視することを伺ったところ、PHCメディコムの電子カルテがクリニックでシェアNo.1であることは重要だと指摘されました。「使用した経験を持つ医療従事者が多いことは、それだけ使いやすく標準的な電子カルテと感じるからだと思います。独特な操作感もなく、選んで失敗するリスクはないと言えるでしょう。さらに、代理店による導入支援・サポートも柔軟に対応してもらっていますから」と言う岡本先生でした。

おかもと循環器クリニック
住所 兵庫県淡路市志筑1860-1
開業日 2020年5月
従業員数 医師2人(常勤医1人、非常勤医1人訪問診療時の代診)、看護師5人(常勤3人、パート2人)、事務職員2人